将軍であった父とは対照的に軍の道には進まず、40代にして穏やかな人柄の地主として暮らす。内気ながらも熱心に読書をし、領地の経営に努めている。妻を亡くして以来、息子アルカージイに深い愛情を注いで生きてきた。身分の低いフェニチュカを家に迎え、彼女との間に「ミーチャ」という子をもうける。持ち前の誠実さと貴族としての自尊心の間で、この関係に対する世間体を気に病んでいる。自らの生活を改革しようと領地の解放などの新思想を試みるものの、常に失敗に終わり、ニヒリストである次世代との間に隔たりを感じて老いの憂鬱を抱えている。
軍学校に入る準備中に脚を骨折したことで軍人の道を断念し、官吏の道へ進んだ。しかし結婚後の最初の10年間は、妻と共に田舎で詩的な夢のような生活を送る。妻との死別後は孤独を抱え、密かにフェニチュカを囲っていた。
44歳。白髪が混じり、肥満気味で、わずかに背中が曲がっている。上品で穏やかな顔立ちと物悲しい瞳、そして小さく黒い目をした地主。
Pavel Petroviç Kirsanov
常に敬意を払い、賢明で優れた存在と仰ぐ堂々たる兄。
Yevgeniy Vasilyeviç Bazarov
自分を旧弊だと感じさせる、若者たちの手厳しい偶像。
Arkadiy Nikolayeviç Kirsanov
崇拝するほど愛しているが、思想的には理解し合えない息子。
Feneçka (Fedosya Nikolayevna)
目に入れても痛くない存在。当初抱いていた恥じらいから、やがて正当な妻となる愛する女性。